第4章 鈍感な君に送るもの『竈門炭治郎』
(え、それって、もしかして。)
期待をしてしまう言い方をする炭治郎に目が釘付けになる。
「その感情が何か、今ようやく分かった。」
そして炭治郎は。
私がずっとずっと、欲しいと思っていた言葉を紡いだ。
「俺、華のことが、好きだ。」
「っ....!!!!!」
その言葉のあまりの破壊力に思わず口を噛みしめる。
そして確認するように炭治郎は私に問いかけた。
「華が俺に毎朝好きって言ってくれたのは、俺と同じ気持ちで、いいんだよな....?」
「っ、そうに、決まってるでしょ?」
あぁ、抑えないと涙が出てきてしまう。
これまで溜め込んだ思いが今すぐ爆発しそうで、体がぶるぶると震えた。
すると炭治郎はふっと笑って掴んでいた私の手を解いて、私に手を伸ばす。
次の瞬間には。
私は、炭治郎に抱きしめられていた。
そして耳元で
「....嬉しい。」
と、ひとつ呟く。
「っ....」
それに我慢の出来なくなった涙腺が、ぼろぼろと涙を零した。
「っ、おそ、いよ、炭治郎っ....!」
「うん、ごめん、ごめんな、」
「私っ、ずっと好きだったんだよ....っ?」
「ごめん、でも今は俺も好きだよ」
「っう、ひっ、く、炭治郎のばかぁ....」
そんなこと思ってないのに、思っても見ない言葉が口をつく。
でもそれも炭治郎がすべてを受け入れてぎゅうっとさらに強く抱きしめた。
そして私の体をそっと離すと、指先で私の涙を拭う。
そしていつものようであって、いつものようでない笑顔で炭治郎はそっと笑った。
「俺は君の笑ってる顔が好きだ。.....笑って、くれるか?」
「っ、」
(そういうのに弱いことも知ってるんだな)
きっとすべてが確信犯だ。
でも今はそんなことはどうでも良かった。
私は炭治郎に頷くと、
私に今できる精一杯の笑顔で笑った。
すると炭治郎は眩しそうに目を細めて、一言つぶやく。
「....可愛い。」
前までは素直に受け取っていなかったその言葉も、今ではすんなりと心の中に入ってくる。
そして炭治郎は私の唇にそっと口づけを落とした。