第4章 鈍感な君に送るもの『竈門炭治郎』
その次の日の朝。
私は宇髄さんの家に行く前にいつものように炭治郎のもとを訪ねた。
「あ、炭治郎!」
炭治郎が建物から姿を現したのを見て駆け寄る。
すると炭治郎もにこっと私に笑いかけた。
「どうしたんだ?こんな朝早くに」
(...分かってるくせに。)
と心の中で呟く。
毎朝私が好き好き言ってるのを理解してのセリフだろうか?
それだったらかなり怖いけど...
じっと炭治郎を見つめると曇りのない瞳で私を見つめてくる。
頭に?という符号をつけて。
(...計算なわけないよなあこれが。)
私は半ば諦めのようなものを感じてまたいつもの台詞をいう。
「炭治郎好きだよ!」
「うん!俺もだ!」
「....うう」
今日も撃沈。
(これは宇髄さんに意識させる方法を聞いたほうがいいかも...)
そう思って踵を返そうとすると、
「あれ、華今日はどこかに行くのか?」
不意に引き止められた。
「あ、うん、ちょっと宇髄さんのところに行ってくるね!」
素直にそう答えると、炭治郎は一瞬驚いた顔をしてニコッと笑った。
「そうか、分かった、また後でな!」
「うん、じゃあね!」
炭治郎が手を振ってくれるのに私も返して宇髄さんの家へと走った。
宇髄さんの家につくとまた昨日のようにあったことを喋る。
それを宇髄さんはうんうんと頷きながら聞いてくれていた。
「~~って感じかなぁ今日も進展ないよね....」
「そうか、じゃあ大丈夫だな」
「え?」
宇髄さんは私の話を聞くやいなやうんうんと頭を振った。
(何が大丈夫?)
私の話の中で大丈夫と思えることなんてあっただろうか。
疑問に思って宇髄さんに尋ねる。
「何が大丈夫なんですか?」
「あー、いや、こっちの話だわ。」
「?」
かるーく流されたのでわたしもそのままで暫くお話を続けていると....
「...よし、お前もう帰れ。」
「え!?」
宇髄さんは時間を確認すると私に笑顔で告げた。
「え、で、でもまだ来て半刻も経ってな、」
「いや、いいんだよこれで。既成事実だけあれば充分だ。」
「既成事実...?」
私が首を傾げると。
「さ、帰った帰った!」