第3章 見えない壁と恋心『煉獄杏寿郎』
「そして君がそばにいることで、俺は凄くしあわせな気持ちになれた。」
「っう....」
ぽろぽろと涙が流れるのも後回しに必死で師範の言葉聞き流さないように耳を傾ける。
「だから今度は....俺が君を幸せにしたい。...良いだろうか?」
(答えなんて、決まってる。)
そう、あの瞬間から。
初めて師範と....煉獄さんと、会ったときから決まっていたのだ。
私は煉獄さんに恋をすると。
「もちろんですっ....!!」
私は渾身の笑顔で師範に笑みを返す。
すると師範は一度驚いた顔をしてまたにこりと笑った。
「....よもや、そんな顔は初めて見たな。これも特権か。」
「...??」
どういう意味がわからず首を傾げる。
すると師範はその笑みのままさらに私に笑いかけた。
「幸せということだ!」
(あぁ、その顔も、初めて見ましたよ師範。)
そんな柔らかい優しい顔で笑う人だっただろうか。
そういえば師範も出会った頃とはすごく角が丸くなっている気がする。
(...これも、私と一緒に居たから、なんて。)
師範と過ごす日々は宝物だ。
毎日がキラキラして、わくわくして。
大変なときもあったけど、今こうして目の前で笑っている人を見たら、何も心配なんてなくなった。
「...ねぇ、師範。」
「...ん?」
師範が先程の私と同じように首を傾げる。
なんだか私に似てきたな、なんて思いながら私はそっと囁いた。
「....大好きです。」
そう言って顔を上げると、また幸せそうに微笑む大好きな人の手をぎゅっと握りながら、
もっともっと幸せになる、私と師範の未来を心の中で鮮やかに描いた。
終。