第2章 気づくまでのタイムリミット『冨岡義勇』
「っ....ごめんなさいっ、私が、言いました...」
ここで嘘をついても何もならないと咄嗟に判断した私は素直に差し金を認めた。
すると不死川さんはもっと笑みを貼り付けて私を見る。
「そうかそうかちゃんと認めるんだなァ。じゃー何でも言う事聞いてくれるよなァ??」
「え、」
(何でそうなるの??)
そう言おうとすると先に不死川さんが口を挟んだ。
「こんなに不快な思いさせといて引き金のお前が何もしないわけ無いだろォ!」
「ううっ、はいっ....」
あまりの剣幕にはいと言う他なく、ただ肯定を述べると...
「じゃあ、テメェにやって欲しいことなんだが....」
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(あぁもう何でこうなるの!?)
私はある任務を任されて、夜道を走っていた。
でも、ひとりじゃない。
隣をちらっと見ると、昼間会ったばかりのおはぎを手にしていた男の姿。
(まさか義勇さんとの共同任務を変わってと言われるなんてなぁ...)
よっぽど不死川さんは義勇さんのことが嫌いらしい。
(まぁ別に私にとってはどうでもいいんだけど。)
ちくっ
「...?」
どうでもいい、と思った瞬間何故か胸に小さな痛みが走った。物理的な痛みじゃない。心の中の痛みが。
(...変なの。)
でも今はその気持ちに無視をして、前を見て走り続ける。
その時...
「ぐぁぁぁあっ!!」
「水の呼吸 壱の型 水面斬り」
義勇さんの方向から鬼が出てきた。
でもその姿を現したのは一瞬だけ。
その次の瞬間にはもう鬼は義勇さんに退治されて跡形もなくなっていた。
その水の流れの様な美しい剣技に思わず目を見開く。
(...そうだ、忘れてたけどこの人も私と同じ柱だったんだ...)
「...おい華。」
「!」
不意に名前を呼ばれてぱっと横を見る。
「これからは二手に分かれる。俺は西に、お前は東に行け。」
「...分かった。」
そう私が返事をすると同時に義勇さんの姿が消えるように無くなった。
そして残るのは昼間のような砂埃だけ。
(よし、私も気を引き締めないとね....)