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君と見るセカイの色は【マギ】

第4章 光さす


長く息を吐いて扉にある小窓を見上げると、コマドリが首を傾げて鳴いていた。

…世界を扉一つに閉ざされて、もうどのくらい月日が過ぎたのだろうか。
決して外に出ることを諦めたことはないが、それを無理矢理にでも叶えようとは思わなかった。

外に出て、胸いっぱいに澄んだ空気を吸い込みたい。
暖かい光を浴びて、人を、自然を感じたい。
けれど、私は化け物だから。
閉じ込められていることは理不尽ではなく安寧のため。
外に焦がれる度に幼い頃の記憶がつきまとう。

次々に痩せこけて倒れていく従者達、周囲の囁き声や視線。信じていた父上の冷たい瞳、何もわからないまま閉じていく扉。


ふと自分の両手を広げて見る。
射し込む光に照らされる青白く痩せた指。この手が触れた相手が何人死んだのたろうか。

「馬鹿みたい……。」

お母様様だってこの手が、私が殺したのかも。
なんて考えていると、久しぶりの足音が耳を通った。



耳を澄まして音を殺す。

…どうやら1人ではないらしい。1つはバタバタと勇ましく歩く音。もう一つは床を擦るように歩く音。2人いるらしい足音は、目の前で止まった。

私に用…?まさか……紅玉?
久しぶりの友の訪問かと思うと胸が高鳴る。

ガチャガチャと何か擦れるような音がしばらく続いた後、カナは力ない目を丸くした。

古びた音と共に、目の前の扉が開いた。

射し込む眩い光。久しぶりにビューっと吹き抜ける風。

この瞬間、大きな期待と興奮を覚えたのは確かだ。
しかし一方でこの時が無ければ、悩んだり悲しむことも無かった筈。そして、貴方に出会うことも無かったのかもしれない。
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