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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第116章 嘘と駆け引き


「ならば問うが、何が心配なのだ?様子が違ったとは?どこがどう違った?具体的に申せ」

「そ、それは…何となくです」

確証などなかった。ただ少しの違和感と妻の勘、のようなものだ。

「何となく…か。根拠もなく俺を疑い、軍議を中断させるとは良い度胸だ。それなりの覚悟があるのだろうな?」

「っ……でしたら、御身を確認させていただきたく存じます」

「断る」

即答だった。
その頑なな態度がますます疑惑を深めているというのに…

「信長様っ!」

「朝っぱらから身体を調べさせろ、などと大胆なことを言うわ。…貴様、よもや拗ねているのか?このところ、抱いてやっておらんからな。昨夜も…」

「ち、違いますっ!そうじゃなくて…」

「…では、何だと言うのだ?」

わざとらしく肩を竦めるその仕草が逆に不自然だった。普段の信長ならば、こんなやり取りを長引かせること自体が無駄だと切り捨てるはずだ。先程から時折、トントンと指先でこめかみを叩く仕草をしているのは苛立ちのせいだろうか。

「……信長様こそ、なぜそこまで拒まれるのですか?」

更に一歩にじり寄り、距離を詰める。
逃げ場を塞ぐように視線を絡めれば、僅かに、本当に僅かにだが、信長の視線が揺らいだ。

「もし何もないのであれば、見せていただくだけで済む話です」

「くだらん」

またもや、短く吐き捨てられる。
だが、その声音にははっきりと苛立ちが滲み、いつもの余裕を欠いていた。

「貴様は、俺を誰だと思っている」

「……誰よりも強く、誰よりも無茶をなさる御方です」

忙しなく動いていた指先が、ぴたりと止まる。無言で鋭く見つめられる。図星だったのだろう。

震えそうになる声を必死に押さえ込んで、見つめ返す。

「信長様が痛みを隠すことに慣れていらっしゃることも、誰にも頼らぬ御方であることも分かっています。そうせねばならぬお立場であることも」

ぐっと拳を握り、言葉を繋ぐ。

「それでも…隠し事は嫌です」

静かに告げ、訴えるように見つめる。
信長もまた暫く無言でこちらを見つめていたが、やがて、ふっ…と口元を緩めた。

「……互いに隠し事はせぬと、そう約したのだったな」

低く、どこか諦めにも似た声音だった。
その言葉に胸の奥がぎゅっと締め付けられるような心地を覚える。


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