第3章 This Story Has Already Begun
4限が終わり、昼食を取ろうと購買に行く者や外で食べる者がゾロゾロと席を立つ。普段から教室内で食べる派の綴はお弁当を広げる前に手を洗いに行こうと、一緒に食べる友達と教室を出た。
「あっ、綴ちゃんだ。おーい!綴ちゃん。一緒にお昼食べない?」
手を洗いハンカチで拭きながら教室に向かって歩いていると、階段の方から底抜けに明るい声が飛んでくる。ブンブンという音が聞こえてきそうなほど大きく手を振る彼に綴は苦笑いを浮かべた。
「せっかくだから行ってきなよ」
そう言いながらニヤついて肘で綴の体をつついてくる2人に綴は「一緒に食べる?」と聞くと「嫌だよ、浅野のこと全然知らないし」と真顔で返され、可哀想になり彼に了承の返事を送った。
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お弁当を持ち浅野の隣を歩いていた綴は見慣れたオレンジ色と彼の友達、それに加えて初めて見る''はず''の女の子を視界に捉えて立ち止まった。
「おーす!喜べ皆の衆!綴ちゃんを連れてきてやったぞ」
「ああ……。って、綴!?」
「綴ちゃんおはよう!どうぞどうぞ隣座って」
いつもは居ない人物に驚く一護と反して、小島は嬉しそうに立ち上がって綴の手を引き隣を促す。
「一護に小島くん、お邪魔します!あと……初めまして。一護の妹で1組の綴です」
「ややっ!そこにあるは美少女転入生の朽木さん!」
綴の言葉で彼女の存在を認めたのか浅野がどーんというオノマトペが似合うようなオーバーリアクションをする。それに釣られて彼女も立ち何処ぞの令嬢かといった風に大袈裟に綴に挨拶をした。
「え、ええ!初めまして綴さん、ご機嫌麗しゅう!3組に転入してきた朽木ルキアです。よろしくお願いしますわ」
「どうしてここに!?」
「一護が口説き落として連れてきたんだよ」
「バッ……!?ちが……」
面白そうに話す小島に慌てふためく一護。
「ふーん」
「いや、ちげーからな!!」
「青春ですなー。大丈夫、誰にも言わないから」
「だ!か!ら!ちげーって!!」
ニマっと笑い意味ありげに頷く綴の肩を持ち必死に揺さぶる一護の姿に小島は少し不憫に思った。