第3章 This Story Has Already Begun
「ただいま」
「あれー、お姉ちゃん1人?お兄ちゃんは?」
家に帰ると夏梨と遊子の2人しかいない。一心は診察がまだ終わってないらしい。
「一護まだ帰ってないの?」
「もしかして綴姉何も言わずに1人で帰ったの?」
「いや、先帰るとは言ったよ。急ぎの用事があったからすぐ出ちゃったけど何か悪かったかな?」
夏梨と遊子の2人が焦っている様に綴は何かやらかしてしまったのかと思い返すが、今日の自分の行動は何も問題ないように思う。
「問題大アリだよ、綴姉今すぐ電話!!一兄絶対心配してる」
綴が夏梨に言われた通り携帯を開くと、そこには中々お目にかからないほどの着信履歴があった。
「……18件って」
履歴は全て一護で慌てて連絡をかける。
「綴姉気づかなかったの?」
「マナーモードにして鞄の底に入れてた」
「それなら意味無いねー」
2つ目のコール音が鳴り終わる前につながったかと思うと一護の焦った声が綴の耳に届いた。
「今どこだ!?」
「家だよ」
「なら良かった。最近この近く事件多いから、もしかしたら巻き込まれてねぇかって」
高校生にもなってここまで心配されるような性格ではないと綴は思う。
3組の井上さんみたいなおっとりした子ならまだしも。しかもまだ18時なのに。
心配どころかちょっとした説教が始まってきたので綴は「早く帰ってきてね」と言って勝手に電話を切る。
「綴姉電話途中で切ったね」
「そのまま話してたら絶対長電話になってたからね、さて遊子ちゃん夕飯作ろうか?」
「綴お姉ちゃんも作るの!?やったー!!今日は何にしようかなー」
遊子の喜ぶ顔に綴も張り切って腕まくりをしていると夏梨が深いため息を吐き、どこか空を見つめている。
「……一兄大変だねー。あれは絶対自覚なしだ」
夏梨が何か呟いたのを料理のリクエストと勘違いし、綴は聞き返した。
「夏梨ちゃん、何か食べたい物ある?」
「ん、何でも」
3人で料理を作ったり皿を並べたりしていると一心が診察から戻り、全ての料理が食卓に置かれる頃に一護が帰宅し5人でいつもの団欒が広がった。