第7章 Nostalgic Noise
「重ねて頼みがあるんじゃが此奴の顔が隠れるような布が欲しい」
「そりゃまたどうして。何か事情があるのか」
「こう見えて此奴はまあまあ古株で知り合いが多いんじゃ。この100年で姿が様変わりしたから大丈夫だと高を括っていたんじゃが早速バレてしまっての」
「ふーん」
白道門での一連の騒動の後、2人になったタイミングで綴は夜一に市丸との会話の大まかな内容を伝えていた。浦原の話によると市丸は藍染の仲間であるため、そちらにはバレている前提で動くしかない。せめてこれ以上ややこしくならないように、その他の護廷十三隊にはバレないようにしておけというのが夜一の見解だった。綴としても異論はなかったため、空鶴から布を受け取り、とりあえず首に巻いた。すると夜一が徐に口を開く。
「海燕の事も知っておるよ」
目を見開く空鶴に綴は曖昧に笑った。
「彼は昔所属していた隊にいたので何度か会ってはいますが、在籍していた時期は被っていないので大して話せるようなことは……。浮竹隊長が自分の仕事に誇りを持ち、情に厚く面倒見も良い方だとよく仰ってました。席次を上げて早く副隊長の座に着いて欲しいのに断られるともボヤいてましたね」
綴は十三番隊に在籍時、回道の腕を見込まれ浮竹の体調が優れない時に治療を行っており、四番隊、二番隊に移籍した後も浮竹の要望で引き続き治療にあたっていたため十三番隊隊舎によく顔を出していた。海燕自身と会話した機会は数えられるほどで特段話せることはないのだが、治療の間にしていた浮竹との世間話を思い出しながらその内容を口にした。
「そうか……。まさかまた兄貴の話を聞ける日が来るなんてな」
100年も前の話であるため海燕が今どうしているかを聞こうとした綴であったが閉口する。
空鶴の表情が、声色が、言葉が。全てを物語っていた。
綴はかける言葉が思いつかず、視線を彷徨わせる。どれほどの間か空間を沈黙が支配していたがズズゥ……!と地響きがして意識がそちらに向いた。
どうやら一護の霊圧のようで3人は急いで練武場へと向かった。