第5章 Walk In The Dark
「おはよう。……って、あれ?」
一護が起きてリビングに行くと家には誰もいなかった。
どこかに出かけるならひと声かけろよな。
今日の夜の花火大会は浅野に泣きつかれる形で3時の集合になった。それにしても用意をするにはまだ早い時間にもう一眠りするかと一護はまた自分の部屋に戻っていった。
例の浅野に全身日焼けした小島、茶渡に加えて有沢に井上といつものメンバーが揃い、打ち上げ会場の市立グラウンドへと会話をしながらダラダラと歩く。
いつも隣にいる綴がいない事に違和感を感じながらも足を進めていれば、花火大会への誘いをやんわりと断られたのを一護は思い出した。
行き先の遠さと会場の混み具合を考えて面倒だと感じた有沢が「この辺でいいんじゃん?」という声に対して、浅野が花火大会への醍醐味は何たるかと熱弁をする。
その熱さに圧倒され、口を出すのを止めて見物に入った男衆3人の背中に「そのとーり!!」と大きな声が伝わってきたかと思えば小さな人影が物凄い速さでこちらに迫ってきた。
「一兄ぃー!!」
「一護ォー!!」
「おにーちゃーん!!」
その影はスピードを落とさないまま一護目掛けて突進してきた。勢いを殺すことが出来ずそのまま土手を全員でゴロゴロと転げ落ちる。
影の正体は朝から居なかった綴を除いた黒崎家の面々だった。
「ほらほらおにいちゃんもチョコバナナ食べなよー!おいしいよ!あーん!」
「あーん!!」
「い、いらねぇよ!てか何でオマエら隣の市の花火大会に来てんだよ!?」
花火大会だからという理由を抜きにしても高すぎる夏梨と遊子のテンションに一護ツッコめば一心が「酔ってるぞ」と小学生が飲んでいるヤバい状況をさも事なげに告げた。
その経緯をサラッと告げた後「そんなことより!!」とヤバい状況を適当に流して今朝から家に居なかった理由、特等席の確保とその場所へ皆で行かないかと話し出した。
乗り気だった浅野と小島と飛び出す様に黒崎家3人は走っていき、茶渡もそれに習っている。
「悪りーな、たつき。毎度毎度、イヤなら来なくても大丈夫だからな」
「わかってるわかってる。心配しなくても後からちゃんと行くって。早く行ってあげな」
綴がいない理由が気になるがそれを聞くにも一心の元に行かなければならないため、一護は仕方ないとゆっくり歩き出した。
