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LIvERARTE【BLEACH】

第5章 Walk In The Dark


せっかくここまで来たのだから最後の最後まで鉢合わせる訳には行かないと綴は一護と入れ替わりで外へ出る。

来週は祭りで騒がしくなる通りもただの住宅街である今は静かだった。

「もう出ちまうのかい?お祭りは?」

そう言って見送りに出て来た人間は当然ながら今日出発する事を告げた相手、ここの家主だった。

「ギリギリまで会う訳には行かないし……」
「そりゃ残念だ」

そう言う彼は前日である今から準備を始めていて、声色から本当に残念そうにしているのが分かった。何故か手には何に使うのか分からないイカダのオールを持っている。

「夏梨ちゃんと遊子ちゃんには変なことさせないで下さいね」

そう釘を刺すが彼は何処吹く風。あらぬ方向を見て口笛を吹いている。綴はその様子を見て口を出しても無駄だと肩を竦めて、その後始末を頭の中の一護に押し付けた。

いつも明るい調子の一心が突然、真面目な顔で口を開いた。

「まあ、なんだ。アンタのことはちゃんと家族だと、娘だと思ってる」

一心の置かれた境遇と綴の置かれた境遇は複雑なものがあるにも関わらず、尚もそれを別として真っ直ぐに状況を受け入れ、自分で判断して行動をする。

そんな純な姿に志波家の血筋が見えて綴には眩しかった。

「絶対に帰ってこいよ。お前さんが居なくなればと夏梨も遊子も、一護も。それに俺も寂しくなる」

一心はこれから半月以上家を空ける人間とは思えないほど軽装の綴の肩に手をのせた。その重みに物理的じゃない何かを乗せられた気がして綴は顔を歪めた。

一心は肩に置いた手を離すという動作をするにしては長い時間をかけて、肩から手を外した。そのせいか綴には肩から離れたはずの重みが消えないように思えた。

「来年こそはこれを着てもらうからな」

その重みから逃れる為に足早に目的地へ足を動かせば、後ろでゴソゴソと音がしてひっそりと出てきた綴の苦労を無にするかのような大声を出した一心に慌てて振り向く。

一心の手にはオレンジの髪によく映える紺色の浴衣があった。

闇に馴染む紺色すらも輝いて見えるその眩しさに目を背けて、一心の声に返事をすることもせずに綴は浦原商店へと駆けた。
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