第5章 Walk In The Dark
「黒崎くん?」
「……あ、ああ。何か言ったか井上?」
花火大会からの帰り道。見ていた花火の壮観さに皆が興奮冷めない中、別のところに在った一護の意識が井上の声によって戻された。
「ううん。……元気ないなって気になっちゃって」
「俺、そんなに元気なさそうか?」
心配そうな井上に大丈夫だとおどけて見せた一護に井上も安心したように笑った。
「もしかして黒崎さんがいないのが理由?」
「あ?いや……まあ別に」
分かりやすすぎる一護の反応に胸が何故かジリと疼きながらもその痛みに気付かないふりをして井上は笑った。
「あはは、黒崎くん嘘下手だなあ」
「そ、そんなことはないだろ!?」
「でも気になってるんでしょ?」
井上の言葉に一護は押し黙る。少し前に一心とした会話が思い起こされた。
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花火が暗い夜空を彩り皆がそれに真剣である中、夏梨と遊子の後ろに立っていた一心に声をかけると一心は煩わしげに応える。
「……あ?綴ちゃん?」
「ああ、てっきり皆一緒だって」
「いんや、友達と一緒に行くって聞いてたけどお前は聞いてないのか?」
「……あ、ああ」
「もしかしたら彼氏かもな」
「はぁ!?」
にししと面白げに笑う一心にそれは無いだろと思いながらも何処かモヤモヤとした感情を一護は抱いたのだった。