第5章 Walk In The Dark
「……それで、大丈夫なん?」
ショッピングモール内にあったチェーンの喫茶店に入って適当に注文を取ってもらった後、開口一番に本題に入る平子に綴は曖昧に首を縦に振った。
「向こうに行って藍染を見つけ出して息の根を止めるだけ……簡単でしょ?」
軽々しく綴は口にはするが対照的にその表情は硬い。
口にするのとやるのとでは難しさも段違いやしな……。
実際にあの副隊長という仮面を外した藍染に相見えた平子にも、その様子を知っている綴にも生易しいものでは無いことは分かっていた。
「さっすが、二番隊に居った人は言う事が過激やわ」
「別に二番隊は戦闘民族じゃないわよ」
綴の姿にその厳しさが分かっていることを察した平子は今更忠告することも無いと軽口で場を濁せば、その態度に綴はむくれたが丁度注文した飲み物が届いてそちらに意識が逸れた。
意図せずやって来たこちらの世界でよく口にするようになったコーヒー。
尸魂界には無い味で最初は口角が歪む程苦いと感じたその味も、こちらに居る年月の長さにとうに慣れた。むしろその苦味が癖になってさえいる。
お互い同じ経緯なのかミルクにも砂糖にも手をつけずにカップの取っ手に手をかける姿にあの事件が起こった日から流れた時間を思い起こし、2人は閉口し少し感傷に浸るのだった。