第5章 Walk In The Dark
一護が浦原の所へ行ってから数日が過ぎた。一護を中心に回って動いている黒崎家はいつもより静かでいつもより寂しい。ただでさえその様子であるのに休診日は尚更だ。
目に見えて気落ちしている遊子を慰めるために夏梨が遊子を遊びに連れて行ってくれたため、今日一日綴が家事全てを受け持つ事になった。
とはいえ普段から遊子と分担して家事を行っているため、特別増えるような仕事は無い。今日の夕飯を買い出しから全てやるくらいだった。
家ですることも無く暇で、昼食後直ぐに家を出た。だからといって友達の家に突然遊びに行ったり出来るはずもなく、一護と鉢合わせなど出来ないから浦原商店に行くことも出来ない。せっかくだからと少し足を伸ばして綴はショッピングモールへと向かった。
ウィンドウショッピングにとモール内を歩き始めれば、早々に見覚えのあるシルエットが。目の端にいたが気づかないフリをして歩き続けると向こうがこちらにやってきた。
「こんにちはー。可愛いお嬢さん、俺と一緒にお茶せぇへん?」
その声を無視して歩くと「……なあ。なあってば、ちょい待って。俺、シンジ言うもんなんやけどなぁ」と並んで歩いてくるおかっぱ頭に仕方なく返事をする。
「シンジって名前のつく人について行っちゃいけないって友達に言われてるので」
「……友達て。あ、ひよ里かァ!あの猿女!「親友を悪く言う人は尚更ついていけないなって」いや、すんません」
「堪忍や」と顔の前で手を合わせる彼にクスりと笑って何の用かと尋ねれば、いつもの飄々とした顔をやめて真剣な表情で彼、平子真子は口を開いた。
「綴チャン今度尸魂界行くんやってな。浦原に聞いたで」
そう言う平子の方に綴が目を向ければ「そう怖い顔せんで」と平子は苦笑いをする。
「ちょっと長話になりそうやから、サ店に入らへん、お嬢さん?」
おどけた様子で言うナンパ男に「今時サ店とか言わないから」と強ばった表情をなんとか緩ませ、喫茶店へと2人は足を運ばせたのだった。