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第二補佐官は第1補佐官の嫁です【鬼灯の冷徹】

第14章 地獄アイドルピーチ・マキ


キキー

電車が駅に着いた

《不喜処前~不喜処前~》

鬼灯「瓜美、降りましょう」

貴方「降ります」

マキ「あっアタシも降りなきゃ」

三人で電車から降りる

マキ「乗り換え?」

貴方「そうですね。次の電車まで30分です」

そう言って鬼灯が座っているベンチの隣に座る

丁度三人用のベンチだったので瓜美の隣にマキが座ってこちらを興味深そうに見てくる

貴方「ほら、ここからうっすら見えますよ」

マキ「?」

貴方「あの山のもっと向こうが黒縄地獄。すぐそこは不喜処です。不喜処は等活地獄に付随する」

鬼灯「余計なお世話ですが地獄の基本はご存じですか」

鬼灯が瓜美の隣から顔を覗かせる

マキ「ホッホ~イ...教えて」

鬼灯「地獄はまず、2つの部署に分かれます。それぞれに8つの部署があり」

八大地獄は等活地獄~阿鼻地獄まで

八寒地獄は頞部陀地獄~摩訶鉢特摩地獄まで

八大地獄は阿鼻地獄、八寒地獄は摩訶鉢特摩地獄が一番酷な地獄である

鬼灯「更にその8つそれぞれに16の部署が付随しています。各部署官僚制になっていて、これからその統括会議へ......」ペシャ

説明していた鬼灯に、カラーボールが頭に当たった

粘着質な音と共にどこからか飛んできた針口虫が鬼灯の頭にぶつかった

動じた様子の無い鬼灯がゆっくりと虫を取り除くと、何とも言えない色と粘りけをもった体液がべとりと糸を引く

突然の出来事に瓜美とマキが呆然と見つめていると、虫が飛んできた方向から一人の老婆が走ってくるのが目には入った

その後ろからは不喜処に勤めるシロの先輩犬・夜叉一が追いかけている

夜叉一「そいつを捕まえてくれ!万引きだ!」

次の瞬間、老婆は宙を舞っていた

その下には見事なアッパーカットの構えをキメたマキがおり、老婆に更なる追撃を加えていく

貴方「あの早さと手加減の無さは熟練の獄卒並みです!」

鬼灯「…(フキフキ)」

夜叉一「ちょっ、鬼灯様、俺の毛皮は汚さないでくれ!」

夜叉一の悲痛な叫びに瓜美が振り返ると、夜叉一を鷲掴みにした鬼灯が頭の体液をその尻尾で拭き取っていた

瓜美は慌てて鞄から手拭いを取り出して汚れた髪を拭き取ってやる

相変わらずの無表情のため気付くのに遅れたが、ネバネバした虫の体液が相当不快だったようだ
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