第11章 龍虎の二重奏
鬼灯「男性が女性に求める一般的な理想像をまとめると牛になると思うんです」
貴方「鬼灯もそういうのが好きなの?」
鬼灯「正直嫌いではありませんが、何より瓜美に惹かれてしまうので比べ物になりません」
貴方「正直すぎます」
顔色が悪くなってきた白澤に頬擦りする牛
それを尻目にいちゃつく補佐官夫婦に桃太郎とシロは顔を引きつらせた
そんな一人と一匹の様子に気付いたのかはいざ知らず、瓜美が白澤を締め上げる牛に声をかける
貴方「牛頭ちゃん、久しぶり。白澤さんのこと気に入ってたんだね」
牛頭「あらぁ瓜美様!お久しぶりねぇ!そうなの、前から可愛いと思ってたモォ~!」
桃太郎「え、これがゴズ!?てかしゃべった!」
貴方「どんなのを想像してたんですか?桃太郎さん」
天国と地獄の行き来には必ず門を通るはずだが、会わなかったのだろうか
牛頭「白澤様、どう?アタシ。とりあえず毎日牛乳なら出るわよ。がんばれば練乳もイケる気がする」
白澤「どう?って言われても…」
貴方「牛頭ちゃんはすごく女の子らしいし、きっと良妻ですよ」
鬼灯「きっとマタドールが100人向かってきても守ってもらえますよ」
白澤「そんな機会、多分ない」
しばし睨み合う鬼灯と白澤
そして二人同時に目線を反らし、連れに向かって嫌そうに口を開いた
鬼灯・白澤「「本当、コイツとだけは1ミリも分かり合えません/ないよ」」
シロ「シンクロしたね」
桃太郎「うん」
本当は仲良いんじゃない?
「牛頭~」
その時、牛頭を呼ぶ声とパカラッパカラッという蹄の音が地獄門に響いた。その音と共に段々近付いてきたのは牛頭にも引けを取らない巨大な馬
「ちゃんとお仕事なさってよぉ~」
牛頭「アラやだゴメーン!」
貴方「あ、馬頭ちゃん」
シロ「ゴズメズ?」
馬頭「そうよ、アタシ達!」
牛頭「地獄の番人、牛頭と馬頭!」
首を傾げるシロに、牛頭と馬頭は揃ってポーズを決める。その息の合った動きにはしゃぐシロに、瓜美も頬を緩ませる
貴方「すごいですよ。昔、シンクロの大会でも優勝してましたし」
馬頭「何千年も一緒に門番してますもの。恋バナも二人でするもん!」
牛頭「ねーっ!」
桃太郎「草食獣のはずなのに、肉食っぽい…」
貴方「実際、肉食系ではあるですよ」
地獄にいる時点で大人しい草食系はあり得ない