第7章 鬼とパンツとカニ
瓜美の仕事は閻魔庁の裁判における閻魔大王の補佐だ
普段は第一補佐官である鬼灯が勤めていることがほとんどだが、第二補佐官である瓜美も鬼灯の代わりに裁判に携わることは割りと多い。今日も鬼灯が三途之川まで視察に出ているため、午後の裁判は瓜美が担当しているのだ
閻魔「ワシが貴殿に下す判決は……衆合地獄!下着ドロなど低俗の極み!よって"99年はき古された鬼のパンツまみれの刑"に処す!次の審査へ回せ!」
獄卒「「ハイッ」」
亡者「慈悲を…っ、慈悲をォォォォ!!」
閻魔「慈悲はない!!」
精神的にかなり抉られるとは思うが、衆合の綺麗なお嬢さん方がそれを受け入れ、且つ管理しているのかと思うと何とも言えない
閻魔「全くどいつもこいつも嘆かわしい……つーか中身に興味もてよ」
貴方「まぁ中身だけに興味津々でも、それはそれで最低ですけどね。あとそれ若い女の子の前で言ったらセクハラで訴えられますよ」
ひとまず今日の裁判はここまでだ
苦笑いしつつ巻物を片付けていると、ちょうど視察から戻った鬼灯が法廷へ入ってきた。その後ろには地獄のチップとデールこと唐瓜と茄子も引き連れている
貴方「おかえり、鬼灯。唐瓜君と茄子君もお疲れさま」
鬼灯「ただいま戻りました」
唐瓜「閻魔大王、瓜美様、お疲れさまです!」
茄子「掃除終わりましたっ」
閻魔「お疲れさま」
どうやら三途之川を掃除中だった二人と合流してそのまま一緒に戻ってきたらしい
瓜美は鬼灯のメモが挟まったバインダーを覗きこみながら簡単に視察の報告を受ける。どうやら奪衣婆は相変わらず元気に守銭奴らしい。そして面食い。やはり鬼灯に任せてよかった
鬼灯「ところであの亡者は何をしたのです?随分喚いてますが…」
閻魔「ああ…生前女性の下着を盗み、あまつさえそれを誇らしくかざして捕まった変態だよ」
貴方「下着そのものよりも下着を盗む変態な自分に興奮する、ある意味そこらの変態よりも質が悪い変態ですよ」
唐瓜「まぁ……その性癖はともかく窃盗ですね。何が彼をそうさせたんだろう…」
茄子「……うん、ストレス社会の歪みかな…」
貴方「発散方法まで変な方向へ歪んできてるんですねぇ…」
なんでも"ストレス社会のせい"で片付くというのも結構深刻な問題だと思う
もうちょっと緩く生きられないのか、現代日本人…