one piece of my Dream [ワンピース]
第10章 貴方の声が
その瞬間に、体中の血が逆流する。
「くっ」
苦しそうに胸を抑えるキヨ。
「キヨ?!大丈夫!?」
あと一歩のところで手が届かない。
「……つっ!…」
前のめりに倒れ込むと慣れた香りに包まれる。
「大丈夫か?しん」
「ゾロ…」
すっと力が抜けて、その腕に体を預ける。
ただ、締め付けられる胸の痛みは酷くなる一方で、
キヨのほうを見ると、
「キヨ?!体が……」
透けてる。
キヨの手が、僕の頬に触れる。
「…しん……ちょっと、先に…行くゎ……
必ず、向こうで待ってるから……
…絶対戻って来い………俺の元に……」
チュッ。
と、キスを落とし、いつもの優しい笑顔をくれる。
じゃあな。と言って消えたキヨは、
優しい香りと、唇の感触を残していった。