one piece of my Dream [ワンピース]
第10章 貴方の声が
「血??」
流れるはずのない血が流れていた。
しんも少し驚いているのであろう、
動きが止まり、その血を眺めている。
助けに行こうとした瞬間、
しんの目の色が変わった。…気がした。
一度高く飛び上がったかと思うと、
勢いをつけ相手めがけて刀を振り落とす。
空を切った刀は着地と同時に体をひねり次の攻撃へ。
金属音を立てて擦れ合う刃は、一瞬の隙も見せない。
互角のように見えて、押しているようにも見える。
押されているようにも見えるのは、
時折相手が、笑っているかのように見えるからか。
長い交戦の中、勝負がつくときが来た。
相手の上にまたがったしんが、
喉をめがけて刀を振り落とす。
ザクっ!!
土に突き刺さる音と共に、
しんの体が震え出す。
男がゆっくりと顔を覆う布を外すと、
大きく見開かれたしんの目が、
優しく包み込むように抱きしめた男の腕が、
それに応えるように背中に回したしんの腕が、
声が。
俺の一番聞きたくなかった言葉を発する。
「キヨ」