one piece of my Dream [ワンピース]
第10章 貴方の声が
シュッと、一瞬かすっただけの相手の傷から、
思いの外、多くの血が流れた。
それに相手が気を取られている隙に、
一気に押さえつけ、上にまたがり、
相手の喉に向けて刀を振り落とした。
「しん」
聞きなれた声に、ギリギリで刃流れを変える。
ドスっと音を立てて地面に刺さった刃は、
男の顔に巻いた布を切った。
まだ早鐘を打つ心臓が、
「しん」
もう一度、名前を呼ばれるだけで、
ドクンと変な不協和音を奏でる。
体が動かない僕を、下から見上げる男は、
自分の顔を隠す布を顎のほうへと全て下げた。