第13章 出会いと別れのログ
《ロジャーside》
おでん達かこっちに来ることになって陽気になっていると、白ひげは拗ねた様子で「そういや」と俺に目を向けた。なんだ返さねぇぞと言うが、おでん達の事ではないらしい
「お前ん所のあの若ェ金髪……“あの”事件にいなかったか?」
「あぁ……あいつか。俺があそこに居たのはあいつを助けるためなんだ」
そうじゃなきゃあんなところ行かねぇと白ひげに言うと、まぁお前だもんなと笑われた。理由もないのにゴッドバレーなんてくそみたいな存在のヤツらが行く所に態々行ったりなんかするもんか
クマラの話を振られて気分がいい俺は、おでんに俺の寿命の事は絶対クマラに話さないことを約束させつつ、クマラがいかに尊いか話して酒を飲む
彼奴には最後まで隠し通すつもりでみんなにも話してある。墓場まで持っていくぜ病気の事は。まぁバレたらその時また考えりゃいい
そんなこんなしていると、不意に白ひげが「少しいいか」と口を開く。なんだなんだと気分がいいままの俺は、一気にそれをそこに叩き落とされる
「前々から気になってたんだ。うちの家族にしてぇ」
「……は?」
酒を飲む手が止まった。今、こいつなんて言った?クマラを家族にしたい?前から気になってた?いまさっき、クマラの事大好きなんだって話してた俺にそれを言うのか
ブチギレるのを何とか堪え、聞いてみろよと俺は言った。おでんの顔からしてちゃんと笑えてねぇんだろう。でも、今のでちゃんと笑える自信なんてねぇ
白ひげがクマラに「おい!俺の家族にならねぇか!!」と呼びかけた。死ねる方法を探せるならどこだって行っちまうクマラだから、少しだけ怖い。一年もあるかわからねぇ寿命だから、ずっと傍にいて欲しいのに
そんなドキドキをつゆ知らず、クマラは数秒間を置いて「無理!」と返答した。見事フラれた白ひげはガックリと肩を落とす
「……へへ、クマラがそう簡単に俺の船降りるもんか!」
「さっきまで緊張した顔してたくせに」
「うっせ!」
クマラが子供たちの相手をしてるのを見つつ、心の中で(ありがとな)と言葉にした。大好きなクマラ……いつか、親友としてじゃなく一人の男として、この気持ちを伝えなきゃな。もう、死んじまうんだし