第12章 “鬼”の跡目の迷いと決意(映画のキャラが登場。飛ばし支障無)
鬼の跡目は、その“鬼”からとある真実を告げられた。前々からあの男以外に知らされている病の事かと鬼の跡目は思う
だが、違った。鬼の事ではなかった。だが、鬼の跡目が動揺するには十分な“真実”
鬼は、ある呪われた男に想いを寄せている。故に、男が真に望むものを与えてやれずにいた。その呪いを解く方法を、少なからず知っていながらも
呪われた男は、死ぬ事も老いることも許されない。首を落とされようと、腕を落とされようと、身体を真っ二つにされようと、八つ裂きにされようと男は死ねない。不老不死の呪いは、その呪いを本来打ち消す筈の効果すら覆し、男を苦しめ続けている
それを知っていて尚、鬼はその呪いを解いてやれなかった。解く勇気が、なかった。それを解いてしまえば、自由にしてやればその時得る“結果”に悲しみで鬼は壊れてしまうと自覚していたからである
鬼は跡目にこう告げた。「お前がアイツを助けたい気持ちがあるなら、アイツより強くなって、──して、殺してやってくれ」、と。それは、男を呪いから解く唯一の方法だ
鬼の跡目はワナワナと手を震わせつつ、一言「わかった」とだけ告げて部屋をあとにした。そして後日、跡目は鬼へと戦いを申し込む
鬼の跡目は決意している。何時しか想う様になった男を救ってやるという、報われない覚悟を。その為には捨てるべきものと、得るべきものが跡目にはある
「……まずは、強さだ」
鬼を越えなければ、呪いを解くことは出来ないかもしれない。鬼同等、もしくはそれ以上を求め跡目は力を欲した。いつからか愛し始めた、男の呪いを打ち消す為に