第4章 崩壊
は、学校にいるとよく人から視線を感じる、怖いと言っていた。
確かにクラスの女子はのことをよく思っていないようだった。トゲトゲした攻撃的な匂いがしていたからわかった。でも理由は分からない。容姿を僻んでいるとか、そういうのだろうか。
今サラッと酷いこと言った?え?どこだ?
まぁそんなことはどうでもいいんだ。
あれから、また精神病棟への入院を医師に勧められたけど、はそれを断固拒否。家には帰れたけど、学校へは来なくなった。
困った。俺が学校にいる間、のことは誰が見てればいいんだ。
また帰ったら倒れてるんじゃないか。自傷行為をしてるんじゃないか。ODをしてるんじゃないか。
授業なんて全く頭に入ってこないまま放課後になって、俺はただただ早く帰ることだけを考えて家路を急いだ。
「…あ。たんじろ、おかえり!」
「ただいま…大丈夫だったか?」
「うん!今日はげんきだよ!」
「薬は?」
「朝とお昼の分しか飲んでない!」
「腕や足は?」
「う…腕は少し切っちゃった。でも足は切ってないよ??…怒った…?」
「…大丈夫だよ、それだけで我慢できて偉かったな、でも、手当雑にしただろう〜。包帯がほどけてる。やり直してあげるからおいで」
「うん!」
日に日に幼児退行していってるような。
その反面どんどんの心はどす黒くなってしまっているような。
は今日も笑顔だ。でも、笑ってるけど笑ってない。
愛されたい、捨てられたくないという感情からできあがった贋作の笑顔。
ああ、作り笑いが随分うまくなってしまったんだなぁ、。
考えてみれば、俺はの心から笑った顔を見たことがない気がする。
出会った時からはすでに父親という鎖に繋がれていたからだ。
神様。
何もいらないから、ただ心から笑った
の楽しそうな笑顔が見たいです。
なんて、呑気なことを考えながら
俺は部屋に救急箱を探しに行った。