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ただそこで生きて【竈門炭治郎】

第4章 崩壊


救急箱を取りに行っているたった3分くらいの間に、何があったんだろうか。

今、は、俺の目の前で手首をひたすら切っている。

ざくざくと音が聞こえてきそうな程の勢いと回数。


一瞬固まってしまっていた俺は無理やり自分の体と頭を動かしてに駆け寄った。


どうして?さっきまで笑ってたのに。

今日は調子がいい、少し腕を切っただけで済んだ、
そう話してたばかりなのに。



、と大きな声で名前を呼びそうになったが、
きっと今刺激したら今度こそは壊れる。
直感でそう思った。だから俺は、できるだけ静かに、平静を装って話しかけた。



「……」

「っ!あ、た、たんじろ、」

「…救急箱、持ってきたから、手当しような。おいで」

「…あ、……」



…だめだっただろうか。

今までで1番怯えてる匂いがする。
俺を映す瞳からは大粒の涙が溢れてる。
でも、あの時と一緒だ、虚ろで、光がない。

、どうして急に?




「…痛かったろ。ちゃんと消毒して…」

「こないで…」

「…?」


小さい声で、「こないで」、と。

から、
俺を拒む言葉を聞いたのは初めてだった。


「た、たんじろも、のこと、本当は嫌いなんでしょ??
き、嫌いだよね。当然だよね。
気持ち悪いよねこんな奴、ごめんね、生きててごめんね、
今までずっと負担かけてばかりで、は何も、返せてなくて、」



が、持っていたカッターナイフを首元へ近づけていった。


止めないとダメだ、でも、どうやって?

今までは俺の話だけは聞いてくれた、だから何かあっても止めてあげることが出来た。

でも、今は?

今俺が下手なことをしたら、刺激するだけなんじゃないか?

動けない、動かないと、動けない、動け、




「、ね、たんじろのこと、だいすきだよ」


「…え…?」


「だから、嫌われちゃう前に、幸せなままで、死にたい」






ーーーが、カッターナイフを首に当てた。





「!!」





俺の体はそこで動いた。
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