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イナズマイレブン-狼たちは狂犬を愛し喰う-オリオンの刻印

第3章 --


朝日が昇り、カーテンの隙間から光が差し込む。雀のさえずりが目覚まし代わりのように、獣都の耳に入った。

獣都は大きな欠伸を一つ零すと、眠い目を擦りながら西蔭を見た。

「西蔭、おはよぅ・・・」

獣都の声は少し掠れており、最後の方は掠れすぎて聞きとれなかった。そんな獣都の声を聞いた西蔭は、昨日のことをぼんやりと思い出した。

「獣都、おはよう。その、昨日はすまなかった。」

気まづそうに謝る西蔭に、獣都はふにゃりと笑ってみせた。

「気にしないで。嫌いな人とはあんなことしないから。」
「獣都・・・」

西蔭は獣都を優しく抱きしめた。

「西蔭?」

突然抱きしめられ、少し動揺を見せる獣都。しかし、すぐに獣都も西蔭を抱きしめ返した。そして長い抱擁を終えると、獣都は自分の部屋へ戻るため西蔭の部屋を後にした。

獣都の部屋は西蔭の部屋から離れているため、獣都は重い体を何とか動かし、長い廊下を歩いた。だが、あともう少しというところで、獣都はふらりと倒れてしまった。







「おい梅、起きろ!」
「こいつ死んでねえか?」

獣都が廊下で倒れて、早一時間。
吉良と灰崎が起床し、部屋から出てきた。吉良は獣都を見つけるなり、慌てて獣都に駆け寄った。吉良が何度も獣都を起こそうと声をかけるが、獣都は一向に起きる気配がない。仕方なく吉良は獣都を背中におぶり、洗面所へと向かった。

洗面所に着くと稲森明日人、氷浦貴利名、剛陣鉄之助の三人が顔を洗っていた。

「なんだぁ?そいつまだ寝てんのか!だったらこの剛陣様が直々に起こしてやろうじゃねえか!」

剛陣は吉良におぶられている獣都を見るなり、何故かドヤ顔でそう言った。そんな剛陣に稲森と氷浦の二人は苦笑いを浮かべ、「やめておいた方がいいんじゃ・・・」と呟いた。しかし二人の声など耳に入っていない剛陣は、獣都の耳元で「起きろぉぉぉお!!」と思い切り叫んだ。

すると獣都はバチッと目を覚まし、剛陣を見るなりスパンッと剛陣の頬を叩いた。獣都に叩かれた剛陣は「いってぇぇぇえ!!」とまたもや叫んだ。
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