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イナズマイレブン-狼たちは狂犬を愛し喰う-オリオンの刻印

第2章 狂犬と守護神


「うぅ~悔しいよ~!!」

獣都は俺の手を握り、幼い子供のように泣き喚いていた。そんな獣都を、俺は不意にも少し可愛いと思ってしまった。

「絶対見つけ出して、再起不能にしてやるっ!!」
「さ、再起不能って・・・」

さらっとすごいこと言うな。

「そういえば、名前・・・」
「えっ?」
「だから名前!」

これは名前を教えろということだろうか?

「西蔭、西蔭政也だ。」

獣都は俺が名前を教えると、満足そうに笑った。

「西蔭、さっきは助けてくれてありがとう。」
「あ、ああ。当然のことをしたまでだ。」

改めて礼を言われると、照れるな。

俺はなんだかむず痒くなり、獣都から目を逸らした。

「西蔭、どうしたの?」
「なんでもない。それより風呂に入った方がいいな。このままでは風邪を引いてしまう。」
「そうだね。」

それから俺は風呂に入り、替えのジャージに着替えた。

浴場から出ると、丁度獣都も女湯の方から出てきた。

獣都を見ると長袖のパーカーにショートパンツという何ともラフな格好をしていた。色はどちらとも黒で、獣都によく似合っていると思う。しかし服が黒色ということもあってか、獣都の白い脚が更に引き立って見えた。

この姿のまま食堂へ行かせていいものか・・・。

「西蔭、食堂行かないの?」
「行くが・・・その・・・少し無防備過ぎじゃないか?」
「えっ?」

こいつ、自覚なしか・・・

俺は獣都を床に押し倒した。逃げられないように両手首を頭の上で押さえつけ、空いている方の手で獣都の太腿をスっと撫であげた。自分でも最低なことをしている自覚はある。しかし獣都のようなタイプは、体で覚えこませる方が手っ取り早い。

これで獣都も少しは俺が言いたいことを理解しただろう。そう思い、獣都の顔を見ると獣都は興奮したように、トロンとした瞳で俺を見つめていた。

「し、獣都・・・?」
「なあに?もうやめちゃうの?」

獣都は煽るように、俺の腰に足を巻つけてきた。

待て待て待て待て!こんなところ誰かに見られたら・・・!

「獣都、離せ!」
「どうして?誘ってきたのは西蔭の方でしょ?」
「誘ったんじゃない!俺はただお前に分からせようと・・・!」
「じゃあさ、ちゃんと分からせてよ?♡」

獣都の猫撫で声に似た甘ったるい声が、鼓膜に響く。気づくと俺の体は、金縛りにあったように動けなくなっていた。
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