第116章 *7.5章〜休息の冒険者〜*
デュースの言葉に渋々広げていた教科書を片付ける。ちょうど2人分のスペースが広がったところに昼食のトレーを手に空いた席に座ったヴィルは形の良い眉をひそめて軽く息を吐いた
ヴィル『ありがとう..ふぅ』
『凄く疲れたお顔してる。大丈夫?』
ヴィル『疲れもするわよ。魔法災害の後処理が済んだと思ったら、次は大急ぎで学園対抗戦の準備。あたしたち(3年生)は5月末までにインターンシップの申し込みもしなきゃいけなくて..
このあたしが締め切りに追われながらギリギリの作業をしてるなんて、信じられない!』
グリム『いんたーんしっぷって何だ?』
ユウ『総合文化祭の時にも言ってたでしょ。今の3年生たちは4年生に上がったら、一年通して外部の企業とかに研修に行くんだよ』
ルーク『その研修先は自分で選んで申し込むのが通礼。どうやら我らが女王はまだお悩みのようだね』
ジャック『ヴィル先輩が判断に迷うなんて、珍しいっすね』
ヴィル『映画スタジオに行くことだけは決めてるの。ただどの企業に行くかを迷っていて..候補が3社あるんだけど、会社ごとに作風というか、社風が全然違うのよ』
オルト『映画って監督や脚本はもちろん、制作スタジオのカラーもかなり色濃く出るよね』
『.....』
研修先に迷うヴィルの話に徐々に盛り上がる中、レイラは1人その光景を静かに見つめていた。1日、2日と時が過ぎていけばいくほどに、ヴィルやルーク、そして3年生たちと共にいられる時間は確実に減っていく
あと数ヶ月もすれば彼らは学園の外で研修の日々を過ごし、顔を合わせられるのは総合文化祭や限られた行事のみ
初めて研修の話を聞いた時にも感じた寂しさや不安が思い出したように込み上げ、胸の奥を鈍い痛みが走る
こんな風に彼らと言葉を交わしながら昼食を取り笑い合える時間が、あとどれだけ残されているのか。考えるだけでも気が重くなっていく
『...(離れたくない。でも、いつかは..)』
心の奥底から聞こえるひび割れの音を誤魔化すように、まだ残っているサラダを少しだけ口にした