第110章 *終曲ディアソムニア*
マレウス『そうか。お母様は最期まで僕のことを想ってくれていたのだな。
にしても、お前が僕の遊び相手か...ふっ、あの姿の僕と遊ぶのは無理がある。きっと小さなお前ことだ、うっかり踏んづけられてしまうだろう』
『う...』
談話室の天井を破壊するほど巨大な体躯のドラゴンと小柄な自分が戯れ合えば、あの地を揺るがすほどの大きな足で潰される未来にサァっと顔が青ざめていく
恐らくへにょっと垂れ下がったであろう帽子の中の兎耳を想像しクスクス笑うと、マレウスは徐ろに足を止めレイラの細い首に手を伸ばす
『ツノ太郎?....んっ』
マレウス『この首に枷をつけて一生飼う、か..
我が母ながら良い考えだ』
色を含んだ指先が首筋を辿りゾクッと背筋が震える。快楽が首筋から全身に回りとろんと瞳が揺れ漏れ出た甘い声に、マレウスの口角は三日月を描く
『んっ..ぁ..』
マレウス『色は黒を基調として、茨やドラゴンを模した銀の装飾を施そうか。中央には僕の瞳と同じ鮮緑の宝石..茨の谷で1番希少価値のあるものを。ああ、国の所有印をつけるのも忘れないようにしないとな。
ふふ、想像するだけで心が躍る。その時はお前に似合うものを作ってやる。きっとお前も気にいるだろう』
爬虫類特有の縦長の瞳孔を開き、仄暗い雰囲気を纏うライムグリーンは、まるで獲物を狙う捕食動物のようで、レイラは無意識に後退ろうとした
しかし逃すまいと伸びた長い腕にあっさりと抱き寄せられ、吐息が触れるほどに顔が近づけられる
マレウス『僕が怖いか?』
『ちょっとだけ...でも、ツノ太郎楽しそう』
マレウス『ああ。これからの未来に楽しみができた。いつかお前が僕を選んだのなら...いや、この際僕でなくともリリアやシルバー、セベク。茨の谷に縁のある誰かのものになれば、その時つけてやればいい』
『??』
マレウス『今は知らなくていい。その内遠くない未来で分かることだ。数年先など、瞬きの間なのだから...』
『よく分かんないけど...待ってるね』
歪んだ自分の思惑など気づかない無垢で愚かな兎に愛おしさが増し、マレウスは悪い笑みを抑えることなく無防備に晒す白い首にそっと口づけた