• テキストサイズ

銀のヴィオラ 『ハリーポッター』

第34章 恋情記 前編




ーーーーーーーーーーーーーーーー




『シリウスー!』

「んぁ?」


広場を歩いていると、突然上から声がする

見てみると、やはり予想していた人物がいた






彼女は1冊の本を持って、ゆっくり降りてくる

『ほらこれ!教室に置き忘れてたでしょ!』

「おぉ、ありがと
つーかなんで知ってんだよ」

『生徒の安全と落ち着いた環境で勉強させる手伝いをするのが私の役目です〜』

「…………ストーカー」

『あ゙あ゙ん?全然違うし』



こんな他愛もない話を繰り返していった




一年、また一年

時をまたいで繰り返して
いつしかそれが当たり前だった



そして、夏休みも、これが当たり前だった







キッチンでジュースを飲む

すると、大きな音を立てて、階段から誰かが降りてきた




しかし、それは振り返らなくても誰だか分かる


「シリウス、またマグルなんかの街に行ったわね」

シリウスの母 ヴァルブルガ・ブラックだ


「………」
「答えなさいこの恥さらし!!
お前のような者がこのブラック家の長男と言うだけで吐き気がする!」
「俺がどこ行こうと勝手だろ」
「いい加減にしなさい!
お前はこの家の跡取りよ!口答えも反抗も許しません!」
「チッ!うるさいんだよ!
そんな古いしきたりに囚われて何になるってんだよ!」
「古臭い!?先祖からの伝統をお前は穢すつもり!?
あぁ、レギュラスは良い子だと言うのに……なんて邪魔者なのかしら」
「っ」






たまらなくなってその場から離れ、大きな音を立てながら階段を上る



ドン!ドン!





バタン!!



「シリウス!開けなさいシリウス!!」



母親がシリウスを追ってついてくるも、ご丁寧にガチャリと鍵をかけて誰も入れなくする




「くそっ!家族も伝統も、クソ喰らえだっ」

靴を履いたままベッドに横たわる



いつもそうだ

ブラック家のしきたりに囚われて自由など与えられない
マグルと関わるのも許されない


「はぁ……ホグワーツに戻りたい……」


それは、ポツンと何気なく呟いた一言だった

夏休みはまだまだ続くから叶いっこないのだが、それでも切に願う




/ 428ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp