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銀のヴィオラ 『ハリーポッター』

第32章 アズカバンの囚人




そして





「……誰だこいつ」


ロンが呟いた

無理もない



現れたのは、1人の男

小さい背丈に、丸まった背中
尖った鼻と長い前歯


まるでネズミを連想させるようなその容姿は、ピーター・ペティグリューだった




ペティグリューはシリウスを見て、泣きそうになりながら言う

「シリウスか?
あぁ、懐かしの友よ…」

その口調は、まるで久しい旧友にでも会ったかのようだ
だが、それは己の立場を悪くする言葉でしかない



「リーマス・ルーピン、しばらくだったね
…ハリー、なんとまぁ………お父さんにそっくりだ……
ジェームズとは親友だったんだよ」

今度はハリーに近付く

本当に嬉しそうにして、ハリーをベタベタと触ろうとするが、ハリーは不気味になって後ずさる



「ハリーの前でよくもジェームズの話が出来るな」

シリウスが憎たらしそうに言う
彼にとっては、憎き仇との再会だ

ルーピン先生が言う

「ピーター、お前がジェームズとリリーをヴォルデモートに売ったんだろ?」
「違うんだリーマス、私は裏切ってなどいない」
「嘘をつくな!
全てお前がやった事だろう!!」


何かおかしい

ペティグリューはこの時、こんなセリフは言わなかった
「仕方なかった」と弁明するように話すはず



また変わったのか?




「ピーター、真実を言え」
「私ではない!親友に対してそんな事をするわけがっ」
「黙れ卑怯者!」

3人は言い合っている


「…………真実」

そこでひとつ思い付く


杖を取り出す



「ヴィオラ?何してるんだよ」

ロンが聞いてくる
が、これを話せばペティグリューにも聞こえるので話せない


なので





『ステューピファイ(麻痺せよ)』


バチッ!


ガタン!!

「「!」」

ヴィオラの呪文により、ペティグリューは吹っ飛んで壁にぶつかる
そして麻痺して動けなくなった


「うぅ」

脳震盪を起こした人のようだ




ハーマイオニーが叫ぶ

「何してるのよ!」
「後で話すから、その人を押さえて」

とりあえず一瞥し、ペティグリューに近付く

ルーピン先生とシリウスがヴィオラの意図を汲み取ったかのようにピーターを押さえ込む



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