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銀のヴィオラ 『ハリーポッター』

第32章 アズカバンの囚人



「ニャゥー」

クルックシャンクスが答えるように鳴いた
それからトテトテトテと、ヴィオラの方に近付いて、擦り寄ってくる

喉を鳴らしながら、甘えているようにも見えた

「ほらな?
そいつは君を気に入っているんだ」
「……」
「ニャー」


トテトテトテ


(あ、ハーマイオニーの所に…)


ヴィオラに擦り寄った後、クルックシャンクスは主人であるハーマイオニーの元へと戻った



「私はあの時弱り果てていた
ろくに食べず、休むことなくここまで来た
猫は私が衰弱しているのを察し、君を私の元へと連れて来た」


という事らしい

やはりクルックシャンクスは賢いのだ
ハーマイオニーにぴったりの猫


(あ、こっち見てる)

クルックシャンクスがこちらを見ている




相変わらずのブサ……………。

可愛い猫だ。







「じゃああなたは、こいつを殺すためだけにアズカバンを脱獄したの?
こんなかっこ悪いネズミ一匹を駆除するために?」
「………そうだ」
「………………」


シリウスの重い言葉に、ロンは静かに息を飲む
彼の本気の意志を感じたのだ

やがて、ゆっくりとスキャバーズをシリウスに差し出し


「分かった、気が済むまで調べたらいいよ」

と言った

「ありがとうロン、感謝するよ」

ルーピン先生がお礼を言う

そして





ピッ



杖を向けた


「これだけ優秀な魔法使い達がいて、逃げ切れると思うかな?
今すぐアニマージを解かなければ、今度は指以外を吹き飛ばすぞピーター」

と、脅迫した

ネズミは未だチュウッ!と鳴いている



(どうすればいいだろう……
とりあえず人間に戻させないと…)

しばらく考え込む


その時



「ピーター!殺されたいのか!」

シリウスが叫んだ

その声にはたくさんの感情が込められているのを感じた
怒りや、憤りや、苛立ちや
「こんな奴のせいで2人は死んでしまったのか」という悲しみが、感じられた



「チュウッ!」



シュルン!




スキャバーズが変化していく


小さな小さなネズミが、大きくなって人間へと戻っていく




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