第32章 アズカバンの囚人

「黙れ異常者め！
それ以上言うなら私がお前の喉をかき切ってやる！」
「シリウスもやめろ！」


先生達が何か言い合いをしている


なんだろう
怖くて怖くて、話が全く入ってこない

まるで耳栓でもしてるかのように、声はくぐもって聞こえない


「穢れた娘め！」
「ヴィオラにそれ以上言うな！」
「「！」」

ハリーが叫ぶ

耐えられなくなったように、スネイプを睨んで、彼女を守るように前に立つ

「出しゃばるなポッター！」
「お前は最低な人間だ！
いじめられてたからって話を聞かないなんて！恥ずかしいと思わないのか！」
「黙れポッター！
我輩に向かってそのような口の利き方は許さんぞ！」
「挙句にはヴィオラにまで八つ当たりするなんて！」
「ポッター！黙らんか！」


もう駄目だ
これ以上はきっと話なんてできない

(やらなきゃ……)


杖を静かに出す

カーディガンの中からゆったりと、気付かれないように

「！ ヴィオラあなたっ……」

ハーマイオニーが気付くが構わない

原作通りに進めるには、「これ」が必要なのだ





『ステューピファイ(麻痺せよ)』


パチンッ！！



「「！」」


バタ！


呪文を放った
途端にスネイプは倒れる


(罰則なら受けますから許してくださいっ)


神に仏に、心から祈った




「こりゃ傑作だ
全校生徒の願いが果たされたよ」

ロンがなんとも場違いなことを言った

言っていることはまあ合っているのだが、手を下したのがヴィオラなだけ、結構微妙

ロンの隣でハーマイオニーは泣きそうになっている

「あぁ、先生を、先生を攻撃しちゃった……
私達、もう何百もの規則破りになっちゃったわ………」




それを聞いてものすごい罪悪感が出てくる

ちょっとうずくまって泣きたい。







「元気だせ、君は良いことをしたんだ」

シリウスがいつの間にかルーピン先生の縄を解き、ポンポンと頭を撫でて慰めてくれる

が

「先生を気絶させて校則破りをしてアズカバン行きになるかもしれないのに？」
「それはそうだが……まあ校則破りはなんてことない
私もジェームズとしょっちゅうイタズラをしていたからな」
「あなたと仲良くなれそうなグリフィンドール生が二人いるよ」