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銀のヴィオラ 『ハリーポッター』

第31章 避けられる




「先生、ひとつ聞いても良いですか?」
「なんだい?」
「このジャケットに何か、大事な思い出でもあるんですか?」
「……………」

そう聞くと、ルーピン先生は黙った

少し思い出にふけるような顔をして、そして言う



「思い出か…………
確かに、私にとっては大事な思い出が、これにはある」

そう言って、ルーピン先生の端切れを手に取る

その顔が、とても優しいものだった
本当に良い思い出なのだろう




「これは、人から貰ったものでね
卒業祝いとしてプレゼントされたんだ」
「そう、だったんですか…」
「あぁ、わざわざ手作りしてくれたんだ
その時からこのジャケットはつぎはぎだらけでね
貰おうかどうか迷ったほどだった」

その言葉に、少し笑ってしまった

ルーピン先生も、面白そうに笑っている
でも、悲しそうな顔をしていた




「……………良かったら、これ、アレンジしても構いませんか?」
「?」
「大事な思い出なら、形として残してたいじゃないですか?
ジャケットとしては無理かもですけど、たぶん小さなものなら出来ますよ?」
「それは………頼んでも良いかな?」
「はい、もちろん!」


笑顔で答える

思い出は心にも残る
でも、それだけでは寂しい

なら形作ろう
物として、見るだけで思い返されるような、そんなアイテムに





「それでは、少しの間お借りしますね」
「あぁ、ありがとうヴィオラ」
「いえいえ、これくらいしか出来ませんから」
「………」


そう言って、教室を出る

片手にはジャケットを持って、ルンルンの気分で、談話室に駆けていく






(どんなのがいいかなぁ)


頭の中には、アイデアがいっぱい

ゆっくりと、考えていこう





「♪」




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