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銀のヴィオラ 『ハリーポッター』

第29章 悲しい偽り



彼の目は憎悪と悲しみに満ちている

本当に
本当に
シリウス・ブラックが憎いのだ

友達なのに裏切った彼を
心から恨んでいる


でもそれは本当じゃない
真実なんかじゃない


それは
悲しい偽りの話なのだ



「! ロン、ハーマイオニー…」

ハリーに続き、2人までやって来た
彼らは心配そうな顔をしてハリーを見ている

ハーマイオニーが話した


「ごめんなさいヴィオラ、大臣の話を聞いて…」
「ハリーの両親が死んだのは、ブラックのせいだって……」


ロンも言ってくれる

やはり彼らも聞いていた




ハリーは泣きじゃくっている
「ブラックを殺すッ」と、度々言っては涙を流して




「っ」


耐えられない

だからそれは、一瞬のこと






泣いて、悲しむ子供をあやすかのように

ハリーをぎゅっと抱きしめた



ハリーは動かない
肩に顔を埋めて、涙を流し続ける

トントンと、規則正しく背中を叩く
優しくそっと、落ち着かせようとするかのように



ヴィオラは言う

「ハリー」
「……」
「あなたが憎む気持ちも分かるよ
両親の死の真相を知って、それがシリウス・ブラックのせいだなんて、仇を取りたいよね」
「……」
「でもね、ハリー
この世の中には、目に見えないものがいっぱいあるのよ」
「……目に見えないもの……?」
「うん、それが何かは私も分からないけど、確かめてみて
魔法省の話が正しいのかどうか、自分の目で見てみるの
それで答えがシリウス・ブラックに辿り着くなら、私はもう何も言わない」
「……………君の話は時々理解しにくいよ」
「ふふ、それはごめんね」
「…………」
「まぁまぁ、ほら、泣き止んで?
かぼちゃジュースでも飲もうよ?」
「…僕はココアが良いかな」
「あはは、分かったよ
どーんとお姉さんに任せなさい!」

とびっきりの笑顔で言う

暗い雰囲気を打ち消すかのように、微笑んで


ハリーはそれで、少し笑ってくれた

「ロンとハーマイオニーも飲むー?」
「えぇ、いただくわ」
「僕も、あ〜、でも炭酸が良いかな」
「わがまま言わないの」

ロンがまたハーマイオニーに叱られている

相変わらずの夫婦だ



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