【文アル×FGO】誰ですか、図書館に賢王様を呼んだのは?
第1章 多忙な日々
「どこか行くんですか」
「帰る」
えっ、と私は思わず声を上げた。
「サーヴァント達には我から伝えておく。雑種は元気でやっていると」
ソファから少し離れ、粘土板を手に魔法陣を展開する。
「なに勝手に人の部屋に魔法陣広げてるんです、てかこっから直に帰るんですか!?」
「当然だ」
魔法陣が輝きを放ち始めた。
「お、王様! せめてほかのとこでやってくれませんか!」
輝きに加え風まで発生し始めた。風は徐々に強くなり、すぐに台風のような大風になった。司書室という紙類の多い空間にはキツい。既に机上の本が勢いよくめくれていて、薄いものは床に転がってしまっている。
「ここでやらないでください、ここで! ここには貴重な文献が山ほどあるんです!」
既に本棚からカタカタと不穏な音がする。司書室の本棚には、貴重な文献に加え、私物の小説もたくさん入っている。
「……注文の多いやつだ」
仕方ない、というような空気感を滲ませながら、ギルガメッシュは魔法陣を閉じてゆく。光が徐々に薄くなる。風は、消える間際に一度ゆらりと大きな波のような風を起こすと、光同様に消えていった。
その最後の風がいけなかった。
本棚の一番上の棚から、ぽろりと一冊の本がこぼれ落ちた。今までの風はなんとか堪えていたが、最後の風で耐えきれなくなったらしい。
本が着地したのは、ギルガメッシュの足元──まだ床に濃く残っている魔法陣の上だった。そして、今度は風は吹いていないのに本がぱらぱらとめくれ始めた。魔法陣と本が連動するように光を放ち始める。でもその光は、サーヴァントを召喚する際のものとは明らかに違う。よく見慣れたあの光は、有碍書の光だ。
「王様! 魔法陣閉じてください、危険です!」
迂闊に近づく事も出来ず、私は叫んだ。
「たわけ! どういう訳か閉じないのだ!」
閉じない? そんな馬鹿な。でも考えている暇はない。サーヴァントが有碍書に巻き込まれるなんて聞いたこともないし、どうなってしまうのかも分からない。
とにかく、あの本をどかさなきゃ!
「雑種、貴様何をして──」
ギルガメッシュの声が頭上から聞こえる。
私は光に包まれ、そのまま意識を失った。