第4章 地獄より愛を込めて
俺の額がまるで燃えているかのように熱くなる。だがそんなことは今、どうでもいい。○○を助けるんだ!
見れば霊の集合体が○○を取り込もうとしている。俺の中で、何かが、ブチキレた。
「貴様ら、俺の○○を返せ!!」
自分で言って自分で驚いた。その声が地の底から聞こえるような感覚だ。
「ノウマク サンマンダ ボダナン エンマヤ ソワカ!!」
無意識にポケットに手を入れる。いつもそこには俺のクールなフェイスを映してくれる鏡があったからだ。その鏡がポケットにちゃんと入っていた。鏡を霊に向ける。その時霊の中から○○の声がした。
「閻魔大王の娘○○の名において、お前たちを黄泉へ送る!」
○○の体が光を放つ。
「○○様!」
お馬さんが投げた剣を掴み、○○が霊を切り裂くと、凄まじいノイズが頭を駆け巡った。
だが今回の霊たちはしつこかった。○○の髪を掴んだまま、離さない。
「○○!」
「心配はいらぬ」
○○は剣で自分の髪を切った。長く美しかった髪は、短くなってしまった。
「○○様、今回はいかがなさいましたか?あのように霊に取り込まれるなど…」
「内側からなら、容易く屠れると思ったまでだ」
パン!!
トンネルに乾いた音が響く。俺が○○の頬を叩いた音だ。
「何をs」
「馬鹿!!俺はお前が霊たちにつれていかれるんじゃないかと、気が気でなかったんだぞ!」
「カラ松……」
「せっかくの美しい髪も短くしてしまって……!」
「……………。すまなかった。だがお前の力は凄かったぞ」
「えっ」
「カラ松様は、額の力をうまく使われてらっしゃいました。その鏡も霊の力をはねつけていましたし」
「はねつけていた?」
「左様にございます。霊はカラ松様をも取り込もうとしておりましたが、鏡によってその力が跳ね返されておりました」
それは知らなかった。
「鏡は使い方一つで、武器にも霊を集めるもとともなる」
「そうなのか?!」
「魔除けにもなるが、合わせ鏡は霊を呼ぶのだ」
あ、そうだ。さっき言おうとしてたことを思い出した。
「なあ、○○。もし継がなくてもいいなら、共に暮らさないか?」
だが答えは、ノーだった。