第3章 再会
「何故恐れる必要がある?美しいし、かっこいいじゃないか」
「美しい?どこがだ?」
「俺は○○を美しいと思う。それに霊を切りつけた時は、本当にかっこよかったぞ!」
「そんなことを言われたのは、初めてだ。大抵は恐れを抱く」
「そいつらは見る目がないんだ。俺はどうやら○○に惚れちまったらしい」
すると○○の顔が真っ赤になった。ますますかわいい。そうか、地獄にいたんだから恋愛することもないわけか。考えてみれば○○も、孤独に生きてるんだな。ならばせめて俺だけでも、心からの愛を送ろう。
「そう!まさに今、恋の歯車は回り出したのさ!さらば、オンリーロンリネスライフ!!ようやく会えたぜ、カラ松ガール!!」
「カラ松」
「どうした、マイハニー。アーハン?」
「テーブルに足を乗せるでない」
「えっ」
気づけばテーブルにどっかりと足を乗せてしまっていた。
「おおう!ソーリー、すまない!」
「くくっ。お前は知れば知るほど面白いな」
○○が肩を揺らして笑う。
「○○様、そろそろ参りましょう」
「ああ、そうだな」
「どこへ行くんだ?」
「新たな場所だ。お前も行くか?」
「ああ。連れて行ってくれ。ここに一人にされるのは心細い」
「兄弟たちにもそのくらい、素直であればよいものを」
「えっ…」
さすが閻魔大王の娘か。何でもお見通しなんだな。
「ん」
○○が差し伸べた手を見る。
「どうした?はぐれればさ迷うぞ」
「あ、ああ」
慌てて掴んだその手は、氷のように冷たい。
「お前の手は、暖かいのだな」
そう言って一歩踏み出したとたん、まぶしい光に包まれた。目を開けることすら叶わない。
ふと風を感じて閉じていた目を開ける。
「!!!」
そこはすでにどこかの場所だった。
「ここは?」
「この先の場所で、強い霊気を感じるのだ。今からそれを屠(ほふ)りに行く」
その時俺は初めて、霊というものを見た。普通の人間のように歩いている者、道端に座り込んでいる者、ものすごい形相で俺たちをにらむ者。だが大抵は何もしなくても○○がそばを通るだけで霧のように消えていく。これが閻魔大王の娘○○の力か。
「すごいな。来るだけで祓えるのか」
「いや、我はまだ力不足だ」