第1章 きっかけは勘違い(前編)
私の同じクラスにいる「西川 一」は、オタクです。
でも、私も同じくオタクだったりします。
「あれ、西川くんがいない」
蝦夷農祭まで後少し。教室の中はみんな慌ただしく作業をしてる。
クラス展示の看板を作ってる途中で私は教室の中に西川くんの姿が無い事に気づいた。
いつも率先して動いてるのにどうしたんだろう。
「西川? 何か酪農の八軒から頼まれてるって抜けてったぜ」
私の声に誰ともなしに答えが返ってきた。
あぁそっか、そういやそんなこと言ってたっけ。酪農科学科の八軒くんとは同室だから仲良いんだよね。
「ちょっと見てこようっと」
自分の担当はほとんど終わってる。ちょっと息抜きがしたくなって私は教室を後にした。
「西川くん見なかった?」
「あっちの小屋で作業するって言ってたぞ」
「ありがと~」
途中、クラスメイトに声をかけるとあっさり居場所がわかった。うちの学校は生徒のプライベートが筒抜けだけどこういう
時は便利だよなぁ。
教えられた小屋は農機具やら色々とある倉庫。
「西川く~ん。いる?」
「お~か、どうした」
外から声をかけるとすぐに返事がきた。
「ここで作業してるって聞いたから見学に来たんだけど、入っていい?」
わざわざシャッターを閉めてやってるってことは集中したいのかもしれない。
「……入れよ」
少し待っていると1メートルほど上げて西川くんが顔を覗かせた。