第1章 春は出会いの季節です。
ナカナカ、オモシロカッタゼ
私の中で勝手に彼の台詞が反芻される。
「ありがとう今泉くん………また続き持ってくるね…!」
「ああ…。……なんだかは小野田に似ているところがあるな。」
「え?そう?」
「リアクションもそうだが…。小野田も続きを持ってくるって息巻いてたからな、さっき…」
「ああ、ラブヒメ?」
「まあ…あっちも結構見進めたからおもしろくなってきたけどな。」
「今泉くん結構いけるクチしてるね?!」
やっぱりアニ研に誘いたかったな、なんて今は叶わないどうしようもないことを考えたけど、結局同じ部活でこうしてたまにアニメの話が出来ている現状は、私にとってとても幸運なことだった。
「そういえばこの前聞きそびれちゃったけど、今泉くんは朝何を聴いてきてるの?」
「ああ…俺はだいたい映画のサントラだ。人の声が入ってない音楽が好きなんだ。気持ちを落ち着けたり、考え事したりするのには静かでいいだろ。」
「へえー!なんか今泉くんらしいかも…!」
やはり聴く音楽等にもその人らしさが出る。「好き」にはその人の人となりが詰まっているものだなと改めて感じる。
「………も、聴いてみるか?」
「え?」
「いや、無理にってわけじゃねぇけど…DVDも借りてるわけだしこっちも何か…」
「うん!普段サントラは聴いてもアニメのくらいだから、聴いてみたい!ありがとう!」
私がそう返事をすると、今泉くんはホッとしたような表情を見せる。
「…ちょっと待ってろ。」
「へ?」