第1章 春は出会いの季節です。
合宿そのものよりも、その後の補習のことが気がかりである。
けれど、未来の主将が「良い合宿に」と、そう言っておられるのだ。マネージャーがいつまでもグタグタは言っていられない。
「はい、主将!私も精一杯サポート頑張ります!」
「………?俺は主将じゃねぇけど…」
「未来の!主将!」
敬礼しながらそう言うと、今泉くんはフッと表情を柔らかくする。
「そうだな。俺もそのつもりでいる。」
「おおお…頼もしい…!」
堂々とそう言う今泉くんに感動していると、目の前の彼は急に私から視線を外し、彷徨わせ始める。
「それとよ…」
「うん?」
「見たぞ、借りたやつ。」
「ええええ!!!魔法少女マミ☆マミ?!?!」
「バッ……バカ!声でけぇよ!!!」
廊下を行きすがる生徒達が私の大声に驚き、こちらの様子を窺っている。
苦笑を浮かべてやり過ごすしかなかった。
「ご、ごめん、今泉くん…」
「別にいいけどよ…」
「それで………ど、どうでした?」
運命の審判を待つような気持ちで彼の返事を待つ。
「ああ…すげえな、魔法少女とか言うのにあんなダークな内容だとはなかなか思わねぇよな。その…」
「?」
「なかなか面白かったぜ。」
「!!!!!」