第1章 春は出会いの季節です。
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「え、合宿!」
「ああ。学校が休みの日にやるわけじゃないから、親御さんにもこの手紙を見せてよく説明しておいてくれ。」
少し新生活にも慣れてきたかと感じていたある日のこと。
休み時間に今泉くんから手渡されたのは合宿のお知らせの手紙だった。
うちの自転車競技部は、毎年この時期に合宿を行っているらしい。
4日間の予定で、聞いたところによればかなりキツイ内容らしい。
ウェルカムレースで優勝した今泉くんはこういった場面で学年を取りまとめる役を担っている。
あのレースの優勝者はそういう役割をすることが通例だそうだ。
金城先輩がそうだったらしいので、うちの学年がメインの体制になったときは、きっと今泉くんが主将さんになるのだろう。
実際、現1年生の中では一番向いていると思う。
「でもこれ、学校休んで行くってことはさあ………」
チラリと今泉くんを窺うと、苦笑が返ってくる。
「察しがいいな。帰ったら全員補習が待っている。」
「はあ…まあそうだよね、普通に考えて…。」
「まあ、仮にも正規の授業をふいにして行くわけだから、良い合宿にしなきゃならないよな。補習のことはまたその時考えればいい。」
「そうだね…」