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【降谷零】なにも、知らない【安室透】

第7章 油断大敵


翌朝、目を覚ましたら暖かかった。
ボーッとする頭と、開ききらない目で、その温もりの正体に視線を向ける。

………………っ!!!

あ、安室さん?!??!

胸元に抱き抱えるようにして、金色の柔らかい髪の毛が見えた。
思わず腕を離しても、がっちりと腰に回った腕が離れる事はなく、それどころかぐりぐりと、あ、あ、安室さんの、頭が、あの、その、胸元に、押し付けられて、る?!!?

寝起きの頭でパニックになって、あ、とか、う、とか、言葉にならない声を漏らしていたら、胸元からクツクツと笑う声が聞こえてきた。

「っ!!あ、安室さん?!」
「ふ、ははっ、悪い。おはよう」
「おはよ、じゃないです!悪いと思ってないですよね?!」

胸元から離れた顔が、見上げるようにこちらに向かい、至近距離で目が会った。
思わずそらした私、悪くない。
朝から目の前でイケメンが笑ってるの心臓に悪いし、その顔がさっきまで、その、あの、私の大きくもない胸元に、あったのだから、気まずすぎて視線なんて合わせられない。
たぶん、顔も真っ赤だ。全身が熱い。

「起きたら目の前におっぱいがあったら顔を埋めたくなるのが男の性だろ」
「ほら!やっぱり!悪いなんて思ってないでしょ!」
「柔らかくて気持ちよかった」
「ちょっとホントやめてください。セクハラですよ」

離れて!と言うように肩を押すがびくともしない。腰に回されている腕にさらに力が加わり、また安室さんの顔が胸に触れそうになる。仰け反るように避ければ腰にあった腕に背中を押されて、結局安室さんの顔を胸元で受け止めた。

「…、ありがと」

小さく呟かれた言葉に、何のことだろう?と思考を巡らす。
たしか、夜中に安室さんが帰ってくる音がしたと思う。
眠気が勝っていたけれどシャワーを浴びて布団に入ってきた安室さんにおかえりと伝えた気がする。
そしてすぐに眠りについて…、うなされるような声でまた目が覚めた、はず。
その時に、頭を抱え込んで背中をトントンしてあげたような記憶が朧げながらあった。

……。つまり、私のせいじゃん!
しかも、ブラするの忘れてた!!
安室さん居ないからって油断しすぎじゃない、私。
というか、むしろ、これは。私が痴女?!
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