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【降谷零】なにも、知らない【安室透】

第7章 油断大敵


目が覚めた途端に泣き出した赤ちゃんをあやしながらもオムツを替えて、ミルクの準備をしてもらった。

「哺乳瓶を水で冷やして人肌くらいまで冷ましてください」
「…このくらいですか?」
「ちょっと貸して。……うーん、もう少し冷ました方がいいかな」

そんなやり取りを見ていたコナンくんは「お姉さん、慣れてるね」と褒めているのか何なのか。

「昔よくお手伝いしてたからね。あ、安室さん。そのくらいでいいです」
「へー」

やっぱり夫婦みたいだ、というコナンくんの声は聞こえなかったことにしてミルクを飲ませてゲップをさせてから毛利さんのところに向かった。

安室さんは梓ちゃんが来るまではお店を空にするわけにはいかないからコナンくんと一緒に。

「いやー、悪いね。ありがとう」
「いえ、こちらこそ。久しぶりに赤ちゃん抱っこ出来て楽しかったです」

毛利さんは、優しそうで頼まれたら断れない雰囲気を醸していた。
だから、依頼人さんに押し付けられたのだろう。
しっかり寝て、お腹も満たされた赤ん坊はご機嫌で毛利さんの腕の中におさまった。
そういえば名前さえ聞いていなかったな、と思い確認してみるとハナちゃんだと教えて貰った。

「じゃあ、ハナちゃん、コナンくん、バイバイ」
「お姉さん、またね」
「ありがとな!」

二人に見送られて、もう一度ポアロに戻る。
一応、安室さんに声を掛けてから帰ろうと思ったから。

「今日は本当に助かりました。ありがとうございます」

人好きのする笑顔を浮かべている安室さんに内心笑いそうになりながらも、他のお客さんの手前、そうするしかなかったのだろう。

「私も楽しかったので気にしないでください。じゃあ、また」

簡単に挨拶を済ませてお店を出れば、お見送りとばかりに安室さんが着いてきて。扉が閉まった途端に「悪かったな」と再び謝られてしまった。

「いえ、あの、本当に楽しかったので。気にしないでください。それより安室さん、しっかり休んでくださいね」

少しの仮眠ではどうすることも出来ないクマを見れば苦笑いを浮かべられて、今日は帰る予定だと告げられた。
それでも夜遅くなるから先に寝てろと言われて安室さんはお店の中に戻っていった。
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