第7章 油断大敵
赤ん坊が目を覚ます前に毛利さんがポアロに顔を出した。
初めまして、と挨拶をすれば安室くんの彼女か?と聞かれて。
なんですぐそうなるのだろうか。
コナンくんはおじさんがごめんなさいと可愛らしく謝ってくれた。君が謝る必要ないんだよ。
寝ている赤ちゃんは変わらずに私の腕の中にいる。
起こしたら悪いから、と毛利さんは起きたら連れて来て欲しいと言い置いて店を出ていってしまった。
「すごい。ぐっすりですね」
手があいたらしい安室さんが、また赤ちゃんの頬を撫でに来る。
「安室さん、子供好きなんですか?」
「あー、まあ。可愛いとは思いますね」
「可愛いですよね。ほんとこのぷにぷにのほっぺは一瞬ですし」
「なかなか、触る機会もないですからね」
「ホントに。癒されるなぁ」
つんつん触っても起きない様子の赤ん坊は、安室さんの言っている通りぐっすりと眠っている。
あと30分もすればお腹が空いて起きるだろうと予想はするけれど、本当に赤ちゃんは抱っこしているだけで癒されると思う。
まあ、私が子供好きだから、っていうのが大きいんだろうけど。
「……、ねえ、本当に、安室さんとお姉さん、夫婦みたいなんだけど」
コナンくん?!
大人しいと思ったら突然何を言い出すんだろうか。
やめて欲しい。
「あー、うー、ね。やめよ?」
なんと返していいか分からなくてつい意味もない言葉をこぼす私に対して安室さんは何も言わない。
ん?と思って見上げてみると片手で顔を押さえている安室さんが視界に入った。
ん?
んん?
安室さん、どうしたの。
「……コナンくん」
「ははは。ごめんなさーい」
何がどうしているのか。アイコンタクトを取った二人に完全に置いてけぼりを食らわされたのだった。