第4章 もう、離さない
は今どこにいるのだろう。
俺にあんな暖かい記憶を残して。
母親の温かさとよく似ていたが少し違った。
日を増すごとにあいつの笑顔が見たい、あいつと話したい、体に触れたい…そんな思いが強くなっていった。
俺の初恋だったのだと思う。
今もあいつを想っている。
忘れた日など一日たりともない。
だが、あいつは男だ。
俺はゲイなのかもしれない。
20代といういい年になってもあいつのことが忘れられない。
あのあと俺はケニーに出会い地下街で生きる術を身に着けた。
外出した時は必ずいつものことを探していた。
あいつに会ったらもう二度と離さない。
改めて、そう誓った。
久しぶりにあの家へ行ってみることにした。
あいつとの思い出の家。
今行けば、あいつと会える気がしたからだ。
どんな女と寝ても俺の心は満たされなかった。
じゃねぇと俺はきっと満たされない。
会ったら、みつけたら、俺のものにしてしまおう。
男であっても関係ねぇ。
が欲しい。
傷をつけて、痕を付けて、縛って、俺のもとから離れられないようにしてしまえばいい。
俺はあの家へと足を進めた。