第3章 それぞれの生き方。
「!今日はどこの市場に行く?」
"あの日"から7年がたった今、何事もなかったかのように過ごす。
立体起動装置を身に着けながら、レスタは、もうすべてを付け終えたに話しかける。
「あぁ、今回はアージェストの店だ。あと10分後に荷台が店の前に止まる。そこを狙う」
「えぇ。分かったわ。今日もヴィリーに拾ってもらいましょうか」
「そうするか。だが、今日の荷物は多いぞ。もう一人つけたほうがいい」
「じゃあ、ルディスにしよっと」
いつからかオレのやっている事を一緒にしたいといい始める奴らが出てきて、今や小さな窃盗団が出来上がっていた。
レスタは部下を持って喜んでいたが、オレは集団行動が苦手だったため、素直に喜ぶことができなかった。
しかし、レスタに半ば強引にだが、この窃盗団のリーダーにされてしまった手前、そんなことを口にできるはずもなかった。
「!あと5分!屋根に上がっとこうよ」
軽く返事を返して、今いる基地の屋根に上り、アージェストの店の近くの建物の屋根を目指し、屋根の上を走る。
この時、立体起動装置は使わない。
できるだけ目立たないようこそこそと移動する。
「遠くからタイヤの音がする。立体起動の準備をしろ」
「わかったわ」
俺たちはいつものように盗みを働く。
「来た。飛べ!」
「はーい!ひゃっほう!」
荷台へ向かって飛ぶ。
ガラガラガラガラッ!
騒音と同時にヴィリーとルディスが路地から飛び出してきて、掴めるだけのものを取り、走り出す。
「うわぁ!」
「くそっ!またやられた!追え!早く!」
男たちの悪態をつく声が聞こえる。
「今回もうまくいったね!リーダー!」
「よそ見してると憲兵団に捕まるぞ」
「おっとっと…!気づかなかったよ。よし、いつも通りだね!」
「あぁ。二手に分かれるぞ」
「じゃあね!リーダー!」
返事をしたが聞こえているかどうかは分からない。
憲兵団が3人オレの左側から出てくる。
左側から出てきたのは偶然ではない。
オレの左の瞼が開かず、見えないのが弱点だと思い込んでいるらしい。
まぁすこし不便だが何ら変わりない。
憲兵団を狭い路地を使って巻いた後、基地へ戻った。
昨夜、一睡もできなかったからか基地のベッドにはいるとすぐに眠ってしまった。