第5章 甘味屋での甘い休息
光秀さんはさっき私に触れた親指で、弧を描く自分の唇をなぞってみせる。
その仕草があまりに色っぽくて、まるで本当に口づけをされたみたいで、その場に立ちすくむ私
「っ……光秀さん、そういうところですよ……!?」
(ほんとにこの人、油断できない……!)
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「光秀様は……とにかく、いけないお方よ!」
「そうそう! 惚れれば地獄–––安土の女はみんなそう言ってるわ」
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(あの子たちが言ってたこと、よーくわかった。真剣に私の悩みに答えてくれたかと思ったら、次の瞬間にはもう人のこと揶揄って……)