第5章 甘味屋での甘い休息
「忘却と思い出さないのは違う。忘れることが罪だと思うのなら、お前は本当に死んだ人間を忘れたのか?一片も思い出さないのか?」
ふるふると小さく首を振る私に光秀さんが近づくと、私の頭を優しくひと撫でした。
秀人を忘れるなんて、そんなことあり得ない。
現にこの瞬間だって、彼のことを思い出してる。
私の思い出の中には、いつも秀人がいる。
光秀さんの言葉に私の中後ろめたさは、軽くなっていく
(あぁ……、またこの人に助けられたな……)
あの不安な夜に抱きしめてくれたことを思い出すと、視線を上げて光秀さんの整った顔を見つめた。