第5章 甘味屋での甘い休息
私も思わず見惚れそうになったけれど、光秀さんと正面から目が合って、急いで顔を背けた。
(いちいちかっこいいんだから、この人は。………こっちをじっと見てる…)
「あの……食べにくいです、光秀さん」
「そうだろうな」
(そうだろうなって、新手の嫌がらせ? やけに楽しそう……)
「あ、もしかして、果物、食べたくなってきました?」
「いいや? 全然。自分で食べるより、美味そうに食べるお前を見ている方が、いい息抜きになる」
(何それ……どんな息抜きなの)
頬がじりじりと熱を持って、顔が赤くなってはいないかと心配になる。
一心に注がれる眼差しが妙に優しげで落ち着かない。
(何を考えてるのか、ほんとに分からない)
光秀さんの読めない心と視線に気を取られ、残りの果物は、全然味がしなかった。