第5章 甘味屋での甘い休息
ーーーー光秀さんの手が、私の手首を無造作に掴み
(えっ!)
私の食べかけの梨が刺さった楊枝を、手ごと引き寄せ、かぶりついた。
「な、なにしてるんですか?!」
突然のことに呆気にとられる私をよそに、光秀さんは悪びれた様子もなくしれっとしてる。
「お前の食べる様子がいかにも美味しそうだったから、これがよかった。」
「だ、だからって…」
(こ、これじゃ…まるで……)
カップルがよくやる、『あーん』が脳裏に浮かんで、自分で自分が恥ずかしくなった。
「お返しに俺が食べさせてやろうか?」
「結構です!」
「それは残念」
悪びれない笑顔に余裕が感じられて、それに反して動揺してる自分が悔しい